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東京高等裁判所 昭和57年(ネ)19号 判決

控訴人

関正彦

右訴訟代理人

鎌田久仁夫

明石守正

被控訴人

川崎健

右訴訟代理人

猪瀬敏明

主文

本件控訴を棄却する。

当審における控訴人の新たな請求に基づき、被控訴人は控訴人に対し金一七万円及びこれに対する昭和五七年六月一日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

当審における控訴人の新たな請求に基づくその余の請求をいずれも棄却する。

控訴費用及び当審における控訴人の新たな請求に伴う訴訟費用のうち一〇分の九を控訴人の負担とし、その余を被控訴人の負担とする。

事実

(求める判決)

第一  控訴人

一  原判決を取り消す。

二1(主位的請求)

被控訴人は控訴人に対し別紙物件目録一1記載の建物のうち北面地上5.5メートルの高さから南に仰角三〇度をもつて形成される平面より上郡の建物部分を撤去せよ。

2 (予備的請求=当審における新たな請求)

被控訴人は控訴人に対し別紙物件目録一1記載の建物のうち三階部分と塔屋部分につき別紙図面(一)(三階平面図)、同(二)(塔屋平面図)、同(三)(北側立面図)、同(四)(西側立面図)の各塗抹線部分で特定される部分を撤去せよ。

3 (当審における新たな請求)

被控訴人は控訴人に対し金四〇三万九、三〇〇円及び内金二六三万九、三〇〇円に対する昭和五七年六月一日から完済まで年五分の割合による金員を支払え。

三  訴訟費用は、第一、第二審とも被控訴人の負担とする。

第二  被控訴人

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴人の当審における新たな請求(前記第一・二、2)を棄却する。

三  控訴人の当審における新たな請求(前記第一・二3)につき

1 本案前の答弁

控訴人の請求を却下する。

2 本案に対する答弁

控訴人の請求を棄却する。

四  控訴費用を含む訴訟費用は控訴人の負担とする。

(当事者の主張)

第一  請求の原因

一  土地建物の位置関係等について

1 控訴人は、別紙物件目録二1記載の土地(以下「控訴人所有地」という。)及び同地上の同目銀二2記載の建物(以下「控訴人建物」という。)を所有し、昭和三三年ころからそこを生活の本拠として家族とともに居住している。

2 被控訴人は、控訴人所有地の南側に隣接し、被控訴人の母親である訴外中島善栄(以下「訴外善栄」という。)の所有にかかる別紙物件目録一3、4記載の土地(以下「被控訴人旧敷地」という。)上にあつた、同じく同訴外人所有の同目録一2記載の二階建木造建物(以下「被控訴人旧建物」という。)に居住していたが、昭和五一年一一月右旧建物を取り壊し、被控訴人旧敷地及び同土地に隣接する同訴外人所有の同所三九番の土地の一部を合わせた土地(以下右各土地を総称して「本件敷地」という。)を敷地として同目録一1の鉄筋コンクリート造陸屋根三階建の居宅一棟(以下「本件建物」という。)を建築した。

二  本件建物の一部撤去請求について

1 被控訴人旧建物は、その北面において、本件敷地の地盤面から5.5メートルの高さを基準として南に仰角三〇度をもつて形成される平面の位置に二階部分の屋根があつたため、同建物が存在していた当時の控訴人建物に対する日照は、一階部分については相当時間妨げられたが、二階部分については冬至においても全く影響されることはなかつた。

2(一) 被控訴人は、昭和五一年九月から本件建物の新築工事を開始したが、それに先立つ同年六月二〇日控訴人に対し本件建物の建築開始にあたり、事前にその建築について同意を求めてきた。その際、被控訴人は、本件建物は三階建の予定ではあるが、一階は車庫として敷地を堀り下げて建築するので、その高さは被控訴人旧建物よりわずかに高くなる程度であり、これによつて控訴人が現に享受している控訴人建物の二階部分の日照を阻害することはない旨を確約した。そのため控訴人は、被控訴人に対し右建築について同意した。よつて、ここに控訴人と被控訴人との間に、被控訴人が控訴人建物の二階部分の日照を阻害しない旨の不作為義務を負うことを内容とする合意が成立した。

(二) しかるに、被控訴人は、その後被控訴人旧建物に比べてはるかに高い本件建物を建築するに至つた。そのため、控訴人は、本件建物により控訴人建物の一、二階のすべての日照が全時間にわたつて奪われ、一日中日の当たらない生活を強いられることとなり、控訴人の健康な日常生活を全面的に否定される結果となつた。

(三) これは、明らかに前記合意に基づく被控訴人の不作為義務に反するものであるから、被控訴人は控訴人に対して、右義務違反行為の結果を除去するため控訴人建物において従前の日照が確保できるよう本件建物の上部を撤去すべき義務、すなわち本件建物のうち本件敷地の地盤面から同建物の北面5.5メートルの高さの位置を基準として南に仰角三〇度をもつて形成される平面より上部の建物部分を撤去すべき義務がある。

3 仮に控訴人、被控訴人間における右合意の存在が認められないとしても、

(一) 控訴人所有地及び本件敷地はいずれも都市計画法上の住居地域(以下当該住民地域を「本件住居地域」という。)内にあり、控訴人は、前記のとおり居住のための所有地を利用しているものであるところ、およそ居住のための土地の所有権においては地上における日照の確保ということもその内容の一つとして含むのであり、また右土地上に生活する者は右土地を利用して健康な日常生活を営む権利、すなわち人格権を有するのである。したがつて、右土地の所有権は、土地に対する直接の侵害行為のみならず、その支配下にある日照等の違法な侵害に対しても、土地所有権又は人格権に基づき、その排除を求めることができるものと解される。

(二) ところで、本件のような住居地においては、少なくとも居住建物の二階部分において、冬至の際に正午を中心に前後各二時間の日照が確保されなければ、その効用が全うされないものというべきである。したがつて、右日照を妨げる行為は違法というべきところ、本件建物の築造行為によつて控訴人建物に対する日照がまつたく奪われるのであるから、その違法であることは明らかである。

そればかりではなく、現に本件住居地域内においては、幾つかの高層建築物が存在しているにもかかわらず、隣家の居住建物の二階部分には日影を及ぼしておらず(例外はただ一つ、代々木プリンスマンションが隣家たる本件建物の二階の日照を阻害しているが、これは、被控訴人が代償を得て、日照権を放棄したことによるものである。)、居住建物の二階部分の日照を阻害しないということは、この地域においては、慣行として確立しているのである。

(三) また、当該地域は住居地域であるから、建築基準法五六条の二の規定により同別表第三の(い)欄(三)地域の(に)欄(一)記載の規制を受ける地域である。たまたま本件建物は、その高さが9.2メートルであるので、右条項及びこれに基づく東京都日影規制条例の対象とならないが、同条項の精神は高さが一〇メートル以下の建物についても類推されるべき性質のものである。しかるに、本件建物によつて形成される日影は、平均地盤面から四メートルの高さの水平面で敷地境界線より五メートルを超え一〇メートル以内の範囲内で四時間を超えているのであつて、もし本件建物にも建築基準法五六条の二の規定が適用されていたとするならば、本件建物はその高さの故に同条に違反するものとなるのである。

(四) 加えて、控訴人は、本件建物の建築の途中で東京地方裁判所に対し右建物の三階以上の建築工事中止の仮処分を申請した(東京地方裁判所昭和五一年(ヨ)第七、四三三号事件)が、被控訴人は、当事者双方の審尋期日(昭和五一年一一月一二日施行)における裁判官からの、現況のままで工事を中止するようにとの勧告及びその後に裁判所から発せられた建築工事禁止の仮処分命令(前同月二二日発令)をいずれも無視し、同月二五日まで工事を強行して、三階部分以上のコンクリートを打ち終えたものであり、その違法性は著しいものがある。

(五) ところで、控訴人建物の二階において、冬至の際正午を中心として前後各二時間の日照を確保するためには、本件建物の高さを被控訴人旧建物と同一の高さまで切り下げる必要がある。したがつて、被控訴人は控訴人に対して、前記二2(三)の場合と同様、本件建物のうち本件敷地の地盤面から同建物の北面5.5メートルの高さから南に仰角三〇度をもつて形成される平面より上部にある建物部分を違法建築部分として撤去すべき義務がある。

4 仮に右撤去義務が認められないとしても、被控訴人には、少なくとも、本件建物のうち三階部分と塔屋部分につき、別紙図面(一)(三階平面図)、同(二)(塔屋平面図)、同(三)(北側立面図)、同(四)(西側立面図)の各塗抹線部分で特定される部分を撤去すべき義務がある。けだし、これによれば、本件建物の三階のうち半分が残存するので、被控訴人にとつて受ける打撃が少ないうえ、控訴人建物も冬至の午前九時から午後一時までの間においてかなりの日照を享受しうるからである。

三  損害賠償の請求について(従前の目隠の設置請求を取り下げ、これに代え当審において新たにした請求)

上述したところから、被控訴人の本件建物建築が控訴人の日照を享受しうる権利ないし利益を違法に侵害したことは明らかであり、このような結果が生じることは、被控訴人において、容易に予見しえたはずである。したがつて、被控訴人の本件建物建築行為は不法行為を構成し、被控訴人は控訴人に対し、これによつて控訴人が受けた次の損害を賠償する責任がある。

1 弁護士費用 金二〇〇万円

控訴人は、被控訴人の右不法行為を排除するため、第一審においては弁護士鎌田久仁夫に、控訴審においては同弁護士と弁護士明石守正に、それぞれ依頼せざるを得なかつたが、これらの弁護士に着手金としてこれまで合計八〇万円を支払つているほか、今後の中間金と勝訴報酬として一二〇万円の支払いを約束している。

2 目隠設置費用 金四三万九、〇〇〇円

本件建物には、玄関へ通じる階段と踊場が設置されているところ、これらは、本件敷地と控訴人所有地の境界より一メートル未満の距離にあつて、控訴人建物を観望できる位置、構造にある(なお、右階段と踊場は民法二三五条の「椽側」に準ずるものである。)。もつとも、現在右階段と踊場には、被控訴人によつて、巾九〇センチメートル、床面からの最高の高さ1.7メートルの不透明塩化ビニール板が取りつけられているが、右程度の目隠では、控訴人建物に対する観望を阻止するには不十分である。そこで、控訴人は、必要最小限の目隠として、巾約六メートル、高さはいずこも1.85メートルのプラスチック波板製目隠板を、昭和五七年三月上旬控訴人所有地内に控訴人の費用をもつて設置した。その費用の額は四三万九、〇〇〇円である。

3 図面作成費と相談料 金四〇万円

控訴人は、日照問題については素人であるため、専門家の助言をかりなければならなかつたが、仮処分及び本件訴訟を通じて、訴外三井建設株式会社に対し、日照関係図面作成費及び相談料として、四〇万円以上の支出を余儀なくされた。

4 既経過慰藉料 金一二〇万円

本件建物の三階と塔屋の躯体工事が完成した昭和五一年一一月二四日から既に経過した昭和五七年一一月二三日まで六年間にわたり、控訴人建物の二階の日照が奪われたことによる控訴人及び妻幸子両名の精神的苦痛を金銭によつて評価すれば、一二〇万円(年間二〇万円)を下ることはない。

5 遅延損害金

弁護士費用八〇万円、目隠設置費用四三万九、〇〇〇円、図面作成費と相談料四〇万円は、控訴審における第一回弁論期日であつた昭和五七年六月一日以前に支払われ、また、昭和五六年一一月二三日までの慰藉料一〇〇万円も同日までに発生しているので、控訴人は被控訴人に対し右合計額二六三万九、〇〇〇円につき昭和五七年六月一日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金を請求することができる。

四  結論

よつて、控訴人は、被控訴人に対し「(求める判決)第一 控訴人」欄掲記の裁判を求める。

第二  被控訴人の本案前の主張

控訴人の当審における新たな請求のうち損害賠償請求に関する部分は、従前の目隠の設置請求とその基礎が必ずしも同一ではなく、新たな証拠調べが必要となるうえ、被控訴人の審級の利益が失われるので、右訴はこれを許すべきでない。

第三  請求の原因に対する認否

一  請求の原因一1、2の各事実は認める。ただし、昭和三四年当時における控訴人建物は平家建であつた。

二  同二1の事実のうち、被控訴人旧建物が存在していた当時にも、控訴人建物の一階部分の日照が妨げられていたことは認めるが、その余は否認する。

同二2(一)の事実のうち、被控訴人が昭和五一年六月二〇日控訴人に対し本件建物の建築開始にあたり、事前にその建築について同意を求め、その同意を得たこと及び被控訴人が同年九月から本件建物の工事を開始したことは認めるが、その余は否認する。

同二2(二)の事実のうち、本件建物が被控訴人旧建物に比べ高度を増したことは認めるが、その余は否認する。

同二2(三)の事実と主張は争う。

同二3(一)のうち、控訴人所有地及び本件敷地が住居地域内にあり、控訴人が控訴人所有地を居住のために利用していることは認めるが、その余の事実と主張は争う。

同二3(二)の事実と主張は争う。日照の阻害は、控訴人建物についてではなく、その敷地である控訴人所有地を中心に考えればよく、また、冬至において日照阻害があつたとしても、直ちに違法とすべきではない。春分、秋分、夏至における日照の状況も考慮すべきである。

同二3(三)のうち、本件建物が建築基準法五六条の二とこれに基づく東京都日影規制条例の対象とならないことは認めるが、その余の事実と主張は争う。

同二3(四)の事実のうち、控訴人が本件建物の建築途中にその主張のような仮処分を東京地方裁判所に申請し、その主張の日に当事者双方の審尋期日が開かれたことは認めるが、控訴人主張の仮処分命令が昭和五一年一一月二二日に発令されたことは不知、その余は否認する。被控訴人が右仮処分命令の出たのを知つたのは同月二四日であり、それ以後は本件建物の三階部分の工事をしていない。なお、本件建物の躯体工事は右同日をもつて完了した。また、被控訴人は、右審尋期日に裁判所に対し本件建物の三階部分の工事を中止等する意思のないことを伝えている。

同二3(五)の事実は否認する。

同二4の事実も否認する。

三  同三の冒頭の事実と主張は争う。

同三1の事実は不知。

同三2の事実のうち、本件建物に玄関へ通じる階段と踊場があり、同所に目隠が設置されていること及び控訴人がプラスチック波型板製の塀を新設したことは認めるが、その余は否認する。

同三3、4の事実は否認する。

同三5の事実と主張は争う。

第四  被控訴人の主張(本件建物の一部撤去請求について)

一  控訴人は、昭和五一年六月二〇日被控訴人に対し、本件建物の新築について同意する際、右新築にあたつて控訴人が被るべき日照、騒音等の被害を受忍する旨を承諾した。したがつて、控訴人が本訴において控訴人建物における日照の被害を主張し、本件建物の一部撤去を請求することは許されない。

二  本件建物による控訴人に対する日照阻害は、次に述べる諸事情からみて、控訴人の受忍限度を超えるものではなく、違法ということはできない。

1 被害の程度

本件建物は前記のとおり昭和五一年一一月二四日に躯体工事が完成し、被控訴人らは現在本件建物を居住の用に供している。したがつて、既に完成した建物の一部を収去するには、被控訴人らの居住の利益を保護するためにも、控訴人の日照被害が特に著しいことを必要とすべきであるが、その被害の程度は部分的かつ僅少である。また、前記のとおり日照阻害の程度を判断するには、冬至における日影のみではなく、春分、秋分、夏至等における日影をも考慮すべきである。他方、本件のような都会の人口密集地においては、日影の平面図によつて日照被害の程度をみるべきであり、側面図によつて判断すべきではない。

2 地域性

控訴人所有地及び本件敷地付近は、前記のとおり住居地域であり(その他右土地付近は、防火地域、第三種高度地区、第一種文教地区に指定されている。)、商業地域に近接している。そして、付近には三階建以上の建物が多く、本件敷地の南側隣地には四階建の高級共同住宅(「代々木プリンスマンション」)が存在するほか、近隣の本件住居地域内には七階建の高級共同住宅(マンション)、第二種住居専用地域内には五階建の高級共同住宅(マンション)等が存在する状況にある。

3 控訴人所有地及び本件敷地付近の土地の特殊性

控訴人所有地及び本件敷地付近は南側が高く北側が低い状態で傾斜しており、そのため本件敷地は控訴人所有地より0.3メートルほど高く、一方本件敷地の南側隣接地は本件敷地より2.5メートルほど高いひなだん状の形態となつている。したがつて、このような土地に建物を建築する場合には、いずれきしても南側の建物が北側の土地建物に対しある程度の日照阻害をもたらすことは避けることができない。

4 被控訴人による被害回避のための努力

被控訴人は、本件建物を建築することにより生じる控訴人を含む近隣居住者に対する日照被害を回避するため、本件建物の位置を当初の設計よりも二〇センチメートルほど西側に移動させたほか、敷地を堀り下げ、本件敷地を控訴人所有地の地盤面より低くして建物の高さをできる限り低くするように抑え、また、建物の容積率の規制限度が三〇〇パーセントであるところを一七〇パーセントで我慢し、建ぺい率も五八パーセソトとして、本件建物を被控訴人ら家族の居住にとつて必要最少限の広さ、間取りのものとしたうえ、控訴人側からの要求を入れて、本件建物の北面の屋上立上り手摺(パラペット)の東側部分を鉄製パイプ手摺に変更した(その他、本件建物の出窓二か所、北面東側のバルコニー一か所を設計から削除した。)。

5 本件建物の用途、構造

本件建物は最高の高さが11.40メートル、軒の高さが8.40メートルの三階建の建物であるが、一階は車庫、倉庫として2.6メートルの高さとし、二、三階は被控訴人ら家族(被控訴人、妻、子供二人、訴外善栄)の居室として使用している。一階部分を車庫としたのは、前記のとおり本件敷地の南側隣地が本件敷地面よりも約2.5メートルほど高くその境が崖状となつているところから、一階部分が居住に適さないことによるものである。また、二、三階の構造、間取りについては、前記のとおり被控訴人ら家族の日常生活にとり必要最小限のものにした。

6 本件建物の公法的規制との適合

本件建物は建築基準法に適合しており(本件建物については、昭和五一年八月二六日に建築基準法に基づく確認の通知を受けている。)、また、昭和五一年における同法の一部改正により設けられた同法五六条の三に基づく東京都の「日影による中高層建築物の高さに関する条例」にも牴触していない。

7 本件建物の建築に対する近隣住民の同意

本件建物の建築については、前記のとおり、控訴人の外、他の近隣住民(訴外田中定雄、同桑原廉毅、同亀山宗香)も同意している。

8 複合的な日照の阻害

本件建物の南側隣接には四階建の高級共同住宅(「代々木プリンスマンション」)が建築されたため、控訴人所有地は午後一〇時ころから午後四時ころまでその日影の影響も受けるはずであり、被控訴人のみが控訴人建物に対する日影の責を負うべき理由はない。

第五  被控訴人の主張に対する控訴人の認否及び反論

一  被控訴人の主張一に承諾をしたことは認めるが、その趣旨は争う。右は近隣住民として受忍限度内の日照阻害等については苦情を申し立てないとするものにすぎず、本件の場合のように、その受忍限度を超えた被害についてまで一切の権利を放棄する趣旨のものではない。

二  同二1の事実と主張は争う。本件建物の躯体工事が完了したとしても、現在の工法をもつてすれば、その射体の切断撤去は容易である。したがつて、本件建物の完成によりその撤去義務が免除又は宥恕されるいわれはない。

同二2の事実のうち、控訴人所有地及び本件敷地付近が住居地域、防火地域に指定されていること及び本件敷地の南側隣地に高級共同住宅(「代々木プリンスマンション」)が建設されたことは認めるが、その余の地域指定については知らない。控訴人所有地等の近隣に被控訴人主張の高級共同住宅が存在することは否認する。

同二3の事実のうち、控訴人所有地付近がひなだん状の形態になつていることは認める。

同二4の事実のうち、控訴人が被控訴人に対し、本件建物の屋上北面の立上り壁(パラペット)を鉄製手摺とするように申し入れ、被控訴人がその東側部分について右申入れに従つた施工をしたこと及び控訴人が被控訴人主張の出窓、バルコニーについて被控訴人と協議したことは認めるが、その余は知らない。

同二5の事実は知らない。

同二6の事実のうち、被控訴人が本件建物について建築確認の通知を受けたことは認める。本件建物が建築基準法及び日照条例等に違反しないとしても、控訴人に対する日照侵害を正当化するものではない。

同二7の事実は認める。

同二8の事実のうち、被控訴人主張の共同住宅が建築されたことは認めるが、その余は否認する。「代々木プリンスマンション」については、控訴人らが日照確保のため交渉した結果、控訴人建物の二階の日照には影響が及ばないような形態に変更された。

(証拠)〈省略〉

理由

第一土地建物の位置関係等について

土地建物の位置関係に関する請求の原因一1、2の各事実は当事者間に争いがない。

第二本件建物の一部撤去請求について

一控訴人は、控訴人と被控訴人間において、請求の原因二2(一)記載の合意が成立した旨主張するので、まずこの点について判断する。

被控訴人が昭和五一年六月二〇日控訴人に対し本件建物の建築開始にあたり、事前にその建築について同意を求め、控訴人がこれに同意したことは、当事者間に争いがない。そして、〈証拠〉によれば、被控訴人は本件建物の建築に伴う近隣住民との日照、騒音等の紛争を未然に防止するため、隣家の控訴人に対し、本件建物建築について事前に同意を求めたものであるが、その際、控訴人に対し、本件建物の配置図を示し、その概要の説明と併せて、本件建物は三階建であり、その位置も被控訴人旧建物より東側に約1.5メートルほど拡幅するが、敷地は堀り下げて、一階は車庫とし、その高さも普通の階の高さよりも低くするので、三階建といつても、全体としてはそれ程高いものではなく、控訴人建物の日照も現在と余り変わりはないと思う、という趣旨の説明をし、控訴人もこれを了承し本件建物の建築に同意したことが認められ、これに反する原審における被控訴人本人尋問の結果は措信しない。しかし、右事実によれば、被控訴人は、控訴人の同意(この同意も本件建物建築について法律上不可欠のものではない。)を取り付けるための説明の際、日照に関する自己の判断を述べたにすぎないことが明らかであるから(なお、原審証人西崎国光の証言によれば、乙第七号証の一、二の日影図も昭和五一年六月二〇日当時には未だ作成されていなかつたことが認められるので、被控訴人自身も本件建物建築によつて控訴人建物に対し後記のように深刻な日照被害を生じさせることになるとは予測していなかつたものと推認される。)、このことから直ちに、被控訴人において控訴人がそれまで享受している控訴人建物の二階部分の日照を阻害しない旨を確約し、両者間にかかる合意が成立したと認めることはできず、他に右合意を認めるに足りる証拠はない。

したがつて、右合意を前提とし、その履行を求める控訴人の主張は失当である。

二次に控訴人は、本件建物による控訴人建物に対する日照妨害は控訴人所有地の土地所有権又はこれに居住する控訴人の人格権の侵害にあたるとし、その排除を求める主張について検討する。

右の点に関する当裁判所の判断は、次に付加・訂正するほか、原判決理由説示(原判決二一丁裏三行目冒頭から同三五丁裏末行目末尾まで。ただし、原判決添付の各図面及び別表を含む。)と同一であるから、これを引用する。なお、右理由説示中における「被告建物」、「被告敷地」をそれぞれ「本件建物」、「本件敷地」と読み替える。

1  原判決二二丁裏四行目の「乙第三号証の二、」の次に「弁論の全趣旨により成立が認められる乙第九号証、」と付加し、同八行目の「その高さは」から同末行目の「であること、」までの部分を「その高さは、敷地上から三階屋上床面までが約8.9メートル、同屋上床面から屋上手摺上部まで約1.3メートル、同屋上床面から塔屋上部までが約2.5メートルであること、」と改める。

2  原判決二四丁表二行目末尾に続いて、「ただし、以下に認定する事実は、控訴人建物、本件建物、被控訴人旧建物の各敷地面が同一平面上にあると仮定した場合におけるものである。」と付加し、同丁裏一行目の「別紙一覧表」を「別表」と改める。

3  原判決二七丁表一〇行目の「ないし一三、」の次に「第二二号証の六」を付加し、同丁裏一行目の「三、六、一九ないし二四」を「三、一九ないし二四、当審証人佐藤昌一の証言及び原審における控訴人本人尋問の結果」と改める。

4  原判決二八丁表二行目の「甲第一号証」を「甲第一、第三八号証、」と同二行目から三行目にかけて「証人清水辰弥の証言(第一回)及び同証人の証言」とあるのを「原審(第一回)及び当審証人清水辰弥の証言、同証人の原審(第一回)の証言」と各改め、同七行目の「一八」の後に「、第二六号証の二ないし一五、第三六号証の二ないし八の各(1)ないし(3)、被控訴人主張の日時、場所の写真であることについて当事者間に争いがない乙第一六号証の二ないし一八」と付加し、同七行目から八行目にかけて「及び原、被告各本人尋問の結果」とあるのを「並びに原審及び当審における控訴人、被控訴人各本人尋問の結果」と改める。

5  原判決二九丁表一〇行目の「おり、」から同丁裏一行目末尾までを、「いることから、控訴人所有地付近は今後も更に建物の高層化による土地の高度利用の傾向が強まるものと思われること、」と改める。

6  原判決二九丁裏二行目未尾に続いて、行を改めて次のとおり付加する。

「控訴人は、更に本件住民地域内においては、隣家の居住建物の二階部分の日照を阻害しない旨の慣行が確立していると主張し、当審における控訴人本人尋問の結果により成立が認められる甲第二五、第三七号証並びに当審証人清水辰弥、同佐藤昌一の各証言及び当審における控訴人本人尋問の結果はこれにそうものであつて、前掲甲第二六号証の二ないし一五、第三六号証の二ないし八の各(1)ないし(3)によれば、控訴人所有地から半径二〇〇メートル以内に存するマンション「メゾン代々木」、同「代々木ニューハイツ」、銀行の寮等の中高層ビルの日影が冬至においても付近の住家の二階部分に及んでいないことが認められるけれども、右事実及び前掲の各証拠だけでは、控訴人主張の右慣行の事実を認めるには十分ではなく、他にこれを認めるに足る証拠はない。」

7  原判決二九丁裏八行目の「三、」の次に「第一五号証の二」と付加し、同九行目の「証言及び」を「証言の一部並びに原審及び当審における」と改める。

8  原判決三〇丁表末行目の「因に」を「因みに」と、同丁裏六行目の「おり、」から同八行目の「高く、」までを「いるが、控訴人所有地は土盛されていることから、被控訴人旧建物が存在していた当時においては、控訴人建物と被控訴人旧建物の各敷地面はほぼ同一のレベルにあり、」と、また、同一〇行目の「約二メートル」を「約2.5メートル」と各改める。

9  原判決三一丁裏九行目の「右認定に反する証拠はない。」を「右認定に反する原審証人西崎国光の証言並びに原審及び当審における控訴人本人尋問の結果は採用しない。」と改める。

10  原判決三一丁裏末行目の「一、二」を削除し、同三二丁表一、二行目の「乙第一号証、前出乙第七号証の一、二、証人清水辰弥(第一回)、同西崎国光の各証言」を「前出甲第四号証の七ないし一三、乙第一号証、第七号証の一、二、原審証人清水辰弥(第一回)の証言及び同証言により成立が認められる甲第四号証の六、原審証人西崎国光の証言」と、同三四丁表四行目の「三2」を「(2)(一)」と、同丁表一〇行目の「一二月」を「一二日」と各改める。

11  原判決三五丁裏末行目の次に、行を代えて、次の説示を付加する。「以上の各事実が認められる。

これらの各事実を総合勘案すると、本件建物建築による控訴人に対する日照阻害は、妨害排除の関係においては、なお控訴人において受忍すべき限度を超えないものと判断する。すなわち、本件建物の建築によつて控訴人所有建物は春分、秋分時において未だ相当量の日照を確保しうるといつても、日照が最も要求される冬至時では、控訴人建物の南側窓のうち、一、二階の西側及び中央の各窓においてはほぼ一日中、また一階東側の窓においては午後零時以降、二階東側の窓においては午後一時以降、そのほとんどの日照を失うに至るのであつて(ただし、二階東側の窓の午後二時以降の日影は控訴人建物自身の影響によるものである。)、被控訴人旧建物当時の日照量と比較すれば、その阻害の程度は著しく、控訴人が受ける日照被害は深刻なものがあるということができる。しかし、本件建物は、マンション等の営利を目的とする建造物ではなく、被控訴人ら家族五人の居住を目的としたいわゆる一戸建の個人住宅であつて、建築基準法等の公法的規制にも適合し、その家族構成及び現在の住宅事情からしても、決して必要以上に大規模な建物ということはできず、被控訴人ら家族五人の居住する住居としてはさほど余裕があるものとはみられない。しかも、控訴人所有地と本件敷地はともに傾斜地にあり、控訴人所有地は本件敷地より一段低くなつているため、もともと日照確保に地形上不利な位置にあるところ、被控訴人は、本件敷地の南側に隣接する土地が二メートル以上も高い崖状となつていて、一階部分が居住に適さないことから、やむなく本件建物を三階建としたうえで、一階を車庫、二階、三階を居室としたのであり、被控訴人がかかる構造を選択したからといつて、これを直ちに不当なものと非難することは相当でなく、また本件住居地域及びその周辺部は、新宿御苑等の緑地を控えた環境良好な地域であるとはいえ、国鉄新宿駅、同代々木駅から徒歩で一〇分足らずの交通至便の地にあつて住宅等が密集し、建物の中高層化も一段と進み、この傾向は更に強まると予想されるもとでは、たとえそれが個人住宅であつても、三階建の本件建物が当該地域の実情に照らし著しく不相応な建造物であるとは到底いうことができない。更に、被控訴人は、本件敷地を約四〇センチメートルほど堀り下げ、かつ、本件建物の一階の高さも通常のそれよりも低くし、できる限り本件建物全体の高さを低く抑える措置をとつているうえ、控訴人の要求に従つて、本件建物の北面の出窓を取り除き、北面屋上の手摺についても、東側部分をコンクリート製から鉄製パイプに変更するなどしているのであつて、必ずしも控訴人に対する配慮を全く怠つているわけではない。

これを要するに、本件建物建築による控訴人建物に対する日照阻害は深刻なものであるにしても、前記のような本件建物の目的、性質、本件住居地域の性格等からすれば、本件建物の三階部分の存在自体は、控訴人において受忍すべきものというほかはない。なお、控訴人は、本件建物は建築基準法五六条の二の直接の適用はないとしても、右規定の精神は本件建物についても類推されるべき旨主張するが、所論のとおり右規定の精神を類推考慮しても、右認定判断が左右されるものではない。

してみれば、控訴人の受忍限度を超える違法な侵害を理由とする本件建物の一部撤去請求は、主位的請求はもとより、予備的請求についても更に論ずるまでもなく、理由がないというべきである。」

第三損害賠償の請求について

一被控訴人は、控訴人が当審において、従前の目隠設置請求を取り下げ、これに代えて新たに申立てた損害賠償請求は、これを許すべきでない旨主張するので、この適否について判断する。

右損害賠償の請求は、訴訟上はいわゆる訴の変更に該当するものであるところ、民訴法二三二条によれば、訴の変更は、請求の基礎に変更がなく、かつ、これによつて訴訟手続を著しく遅延させることがない限り、口頭弁論の終結に至るまですることができる、とされている。ところで、本件においては、控訴人が原審において前記本件建物の一部撤去請求の外に民法二三五条又はこれの類推適用によつて本件建物の北面の窓並びに階段と踊場にそれぞれ目隠の設置を請求していたところ、当審において、右目隠設置請求を取り下げ、代わりに損害賠償を新たに請求したものである。そして、右損害賠償請求は本件建物建築による日照被害と観望されない利益の侵害を理由とするものであるところ、日照被害を理由とする部分は本件建物の一部撤去請求と、また観望されない利益の侵害を理由とする部分は取下げられた目隠設置請求と、いずれもその請求の基礎を同じくするものであることが明らかであるし、この訴の変更があつたからといつて、特に本件訴訟手続が遅延するともいうことができない。

そうであるとすれば、控訴人の当審における訴の変更は適法なものとしてこれを許すべきであるから、これに反する被控訴人の主張は失当である。

二そこで、右損害賠償請求の当否について判断する。

1  日照被害について

本件建物建築によつて控訴人の受ける日照被害の程度、本件住居地域の地域性、本件建物の用途等の事情は前記第二の二で認定したとおりであり、これらの事情のもとでは、本件建物の三階部分の存在は控訴人において受忍すべきものであることは、前に説示したところである。しかし、控訴人が本件建物の存在を受忍すべきであるといつても、それが当然に控訴人に対する不法行為責任をも否定することになるわけでない。けだし、妨害排除請求権の発生を認めることは、相手方の権利行使を直接的に制限するものであるから、そこにおける受忍限度の判断は慎重でなければならないが、不法行為成立の前提となる受忍限度の限界線は、公平の観念からも、妨害排除のそれよりも低い段階で足りると解すべきであり、それ故、不法行為の成立は比較的容易に認めることができるからである。

これを本件についてみると、前記認定にかかる控訴人建物の受ける日照被害は深刻なものがあり、被控訴人にとつて有利な前記認定の諸事情を考慮しても、右被害の程度は、不法行為の面においては、受忍限度を超えているものと認めるのが相当である。そうすると、被控訴人は、控訴人が享受していた日照の利益を違法に侵害したものというべきであり、かつ、二階建の被控訴人旧建物を三階建の本件建物に建て替える際、そのことは予見すべきであつたと判断されるから、被控訴人は控訴人に対し日照阻害によつて控訴人が受けた損害を賠償すべき責任があるといわなければならない。

被控訴人は、この点に関して、控訴人は昭和五一年六月二〇日被控訴人に対し本件建物の新築について同意する際、右新築にあたつて控訴人が被るべき日照等の被害を受忍する旨承認したと主張するが、控訴人が本件建物建築について同意を与えるに至つた事情は前記第一の一のとおりであつて、控訴人としては、本件建物が建築されても控訴人連物の日照には余り変化がないという被控訴人の説明を信じ、これを前提として同意をしたのであり、本件のような深刻な日照阻害をも受忍する趣旨でなかつたことは明らかであるから、被控訴人の右主張は失当である。

2  観望されない利益の侵害について

本件建物の玄関に通じる階段と踊場のあること、同所に目隠が設置されていること及び控訴人がプラスチック波型板製の塀を新設したことは当事者間に争いがない。そして、〈証拠〉によれば、被控訴人が階段と踊場の外側(控訴人建物側)全面に設置した目隠は、九〇センチメートル巾(床面からの高さ1.75メートル)の不透明な塩化ビニール板であり、故意に控訴人建物内を覗き見しようとしない限り、右塩化ビニール板の存在によつて同建物内を観望できないことが認められるので、右塩化ビニール板をもって通常要求される目隠の効用は果されていると認められ、〈反証排斥略〉。したがつて、右塩化ビニール板が目隠として不十分であることを前提として、控訴人が独自に設置した目隠の設置費用の賠償を求める請求は失当である。

3  損害

(一) 以上に認定した事実に基づき、本件建物建築に伴う日照阻害により控訴人が被つた精神的苦痛(ただし、控訴人は、本件建物の三階と塔屋の躯体工事が完成した昭和五一年一一月二四日から昭和五七年一一月二三日までの六年間に限つて慰藉料を請求しているので、判断もこの期間に限定し、今後も継続することが確実な日照阻害に伴う控訴人の精神的苦痛は考慮しないこととする。)を金銭によつて評価すれば、一二万円をもつて相当と認める。

(二) 控訴人が請求する図面作成費と相談料は、本件訴訟の最大の目的が本件建物の一部撤去請求であつたことから、専門的知識が要求されるという本件訴訟の特殊性を考慮しても、本件不法行為と相当因果関係にある損害とは認められない。

(三) 控訴人が本件訴訟を原審においては鎌田久仁夫弁護士に、当審においては同弁護士と明石守正弁護士に委任したことは本件記録により明らかであるが、本件不法行為と相当因果関係にある損害としての弁護士費用の額は、本件訴訟の難易、認容額その他諸般の事情を考慮すれば、五万円をもつて相当と認める。

第四結論

以上の次第であるから、控訴人の本訴請求は、当審において新たに請求した損害賠償請求のうち、被控訴人に対し前記損害金合計一七万円とこれに対する本件建物の躯体工事が完成した後である昭和五七年六月一日から完済まで年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度において理由があり、その余は理由がない。したがつて、本件建物の一部撤去請求を棄却した原判決は相当であつて、本件控訴は理由がなく、棄却を免れない。また、控訴人が当審において新たに請求した本件建物の一部撤去請求についての予備的請求並びに同じく当審において新たに請求した損害賠償請求のうち、前記の限度で理由があるとした部分を除く、その余の部分はいずれも理由がないので、これを棄却し、控訴費用及び当審における控訴人の新たな請求に伴う訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条を適用して主文のとおり判決する。

(岡垣學 大塚一郎 川﨑和夫)

物件目録一

1 東京都渋谷区代々木二丁目三六番一九、同番二〇所在

鉄筋コンクリート造陸屋根三階建

一階 57.55平方メートル

二階 62.63平方メートル

三階 59.91平方メートル

塔屋 6.88平方メートル

2 右同所同番地所在

家屋番号 三六番九

種類 居宅

構造 木造瓦葺二階建

床面積 一階 34.71平方メートル

二階 28.92平方メートル

3 東京都渋谷区代々木二丁目三六番一九

宅地 23.14平方メートル

4 右同所同番二〇

宅地 71.10平方メートル

物件目録二

1 東京都渋谷区代々木二丁目三六番一七

宅地 164.62平方メートル

2 右同所同番地所在

家屋番号 三六番一八の一

種類 居宅兼物置

構造 鉄筋コンクリート造陸屋根地下一階付二階建

床面積 一階 81.63平方メートル

二階 55.44平方メートル

地下一階 9.63平方メートル

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